最近良く見る意見について
以前のブログにも書きましたが、伊達公子選手の論文が出て以来、「日本にもハードコートを!」と言う意見が目につきます。
世界基準はハードコートであり、日本は砂入り人工芝がメインだから、と言うご意見です。
伊達公子選手の論文について思う事。 - Earnest Tennis Academyのブログ
もちろんそれは真実の一つではあると思います。
しかし個人的には、世界基準ではハードコートとクレーコートだと思います。
そしてその2つのコートでは、戦略などは大きく変わるのではないでしょうか?
例えば早いテンポの試合が得意な選手は、ラリーが続いてイレギュラーもあり、跳ね上がるクレーコートが弱い。
ストローク主体で回転量が多く、ポジションが下がる選手はハードコートでは結果が出にくい。
最近は変わってきたようですが、以前からよく言われている話です。
個人的にはどちらが先か?と言う違いで、
①体格的に日本人はクレーで守りをしっかり鍛えて、そこから攻撃力を上げる選手もいれば、②ハードでコンパクトでテンポ早くて、ネットプレイも含める選手が、クレーで粘り強さやそのラリーの多さからの戦術を覚えていく、と言った方法もあると思います。
いずれにせよ感じるのは、ハードコートにしたら自動的に世界基準の選手が出て来るわけではないと言う事です。
それを言えば普段からハードコートで練習しているクラブからは、どんどん世界基準の選手が出てきておかしくない。
でも実際はなかなかそれは難しい。
逆に言えばハードコートがないクラブからは、世界基準の選手は出てこない、と言う話になります。
それはどうしてでしょうか?
やはりハードコートやクレーコートで勝ち抜くには、身体がしっかり使える技術が必要だろうし、コーディネーション能力も必要だろうし、厳しい試合に取り組めるメンタルも必要だろうし…
ハードではなくソフトの面での世界基準が必要なのでは?と思います。
それを伝える為のツールとしてハードコートやクレーコートがある。
それを必要性を選手が感じるために、ハードコートやクレーコートがある。
そう言った感覚が必要なのかな?と感じます。
伊達公子選手の論文にも空間認知の必要性などが書かれており、ソフト面の向上も書かれています。
個人的にはコートサーフェスよりは、3セットマッチの導入の方が必要性が高いと思うし、実現可能だと思います。
そして必ずしも世界基準を目指す選手ではなくても、今いる自分のレベルから一つ上のレベルに行きたい選手に必要なのであって、見方によっては世界目指さないから砂入り人工芝でいい的な感じにも捉えられる意見も見ます。
現場にいるコーチを職業にしている方には、そんな感覚はない、と思います。
特にジュニア選手に覚えて欲しいのは、絶対基本です。
身体の、心の、技の、絶対的な基本。
それが
どれほど難しい事か!
どれほど時間がかかる事か!
ITFを回る選手には、それに詳しいツアーコーチの方々がおられます。
僕たちホームコーチの役割は、その選手の10年後を想像して、今の年齢のその選手に何が必要か?を取り組む事が必要だと思います。
そうしたホームコーチの立場の僕にとっては、「世界基準の為にハードコートを!」と言う意見は何だか片手落ちの様な感じがしてしょうがないのです。
あくまでも個人的な意見ですので、批判的に取られて不快に思われた方がおられたら大変申し訳ありません。