全日本ジュニアを終えて
2019年の全日本ジュニア14歳以下男子シングルスにアーネストの糸永龍矢選手が出場しました。
九州勢では一番低いランクでの出場だったので、ドローは期待していませんでしたが、第6シードとの対戦で、1Rで負けてしまいました。
酷暑の中の試合という事で、ファイナルセットは10ポイントタイブレークと言う形式になりました。
負けた次の日は、靭に行って16・18歳以下の試合を観戦しました。少しでも何か持って帰りたいと思い、彼が何を感じるのか?を期待しながらの観戦でした。
ここからは個人的に思った事を書きたいと思います。
まず今回ハードコート対応は出来ていませんでした。
それなりに準備はしたつもりでしたが、ハードコートにスリクソンの組み合わせ、しかも暑さでかなりボールも飛ぶ状況でした。
糸永選手は体格的には小さい方なので、普段は色んなボールを使ってポイントを取っていくタイプです。
しかし今回は「打たないとふかす」感じで、いつもよりかなりハードヒットを繰り返す試合になってしまいました。
ハードヒットかカウンターがメインの試合運びで、相手との実力差がはっきり出た試合となりました。
九州の砂入り人工芝での全中予選の次の日に大阪入りは、対応するには準備期間は少なかったかもしれませんが、やはりこの状況ではいくつか必要な武器が足りていなかったと思います。
フットワークは、常々「砂入り人工芝仕様」にならないように、気をつけて指導して来たつもりでした。
それなりに対応は出来ていましたが、足りなかった部分は多々見受けられました。
もう一つは…
口で言うのは難しいですが、
「一旦自分のものにしてから打つ」とか、「しっかり潰して打つ」とか、「ガットで吸収してから打つ」とか言われる類の物が出来ていませんでした。
普段の練習では出来ている方ですが、足りなかったと言うのが実際の印象です。
その為力でボールを潰してのコントロールしか出来なくなったのが、一番印象的でした。
変化のある試合が出来ず、走りっこになるとモロに実力差が出ます。
そうした感じは他の九州勢にも見られました。
クロスに跳ねるボールに対して押さえられない。砂入り人工芝の高さならカウンターが打てるけど、ここではふかしてしまう。
そうした物が思っていたより対応出来ていなかった印象でした。
その為には先ずは身体の中がしっかり動く選手やないと、そのタッチは出ないのではないか?と考えています。
会場で様々な選手を見て、コーチとお話させていただきました。
僕としては技術面の指導の方向は間違っていないと思います。
ただ運動量が少ないのが気をなりました。
普段から気になっているのですが、スポーツ選手の子供達なのに、動く事に快感を覚えない感じがします。
12歳14歳なのに、一時もジッとしていない、とかちょっと凶暴な感じとか、そんな感じの選手が少なかったような気がしました。
もっともっと野生的と言うか、ワイルドな感性の選手が欲しいと思います。
特にこの年代はとっ散らかっていても良いので、身体を使い切ってテニスをする感じの選手がいても良い。
でも皆んなスマートにテニスをし過ぎなんやないか?と思いました。
あとはテニスが好きかどうか?も重要だなと思いました。
こんな炎天下にこんなレベルの試合で勝とうと思えば、もっとやらなければいけない事があります。
それこそ私生活から。
日常の生活の上に競技生活はあります。
それを考えれば、「テニスが一番好き」では足りないんやないか?と。
一番と言うのは、二番や三番と入れ替わります。
順番が付けられないくらいテニスが飛び抜けて好きやないと、そんなチャレンジはし続けていけないのではないか?と思いました。
順番付けられる好きなものとは違った次元の、飛び抜けているもの。
どんな競技の選手でも、例えば音楽のアーティストにしても、必ず一時期のめり込んでそれしか考えずに過ごした時期があります。
そんな時期を過ごしていない。
もしくは親や指導者にやらされている選手は、どこかでブレーキがかかってしまうのではないか?と思いました。
だいたい負けず嫌いなんてコーチが教える事ではないと思います。
負けて凹んだり逃げたり、笑ってごまかしたり、スカした顔して平気なふりしたりしても、それが次への成長につながる事は難しいのではないでしょうか?
厳しいのかもしれませんが、このレベルで勝ち続けるのは厳しい世界です。
勿論ITFの世界にチャレンジするのなら、更なるハードル(体格や言語)が待っています。
その為の準備や指導を、指導者が意識しておかないといけないと思います。
全日本に出れるようになってから、全日本で勝つ準備をしても遅いので。
その為には本当に指導者が、勉強や体験を継続しないといけません。
選手だけではなく、指導者もチャレンジし続けていかないと、と思いました。