予想と予測について
新型コロナウィルスの感染拡大により、各地のジュニア大会が軒並み中止や延期になる中、とうとう夏の全国大会も中止が決定しました。
と、言うことは夏前の地域大会も中止になり、選手によってはラストイヤーだったりして、なかなか辛く切ない時期となってしまいました。
勿論ラストイヤーと言うのは、ジュニアの最後と言う意味だけではなく、12歳以下最終という意味もあります。特に早生まれの選手は、一番その恩恵を得られる年だったのに…、と思っているみたいです。
この状況下で選手の目的意識を持ち続けるのは、本当に大変だと思います。
やはり「本番」あってこその練習ですし、普段から自分で「練習の方が好き」とか言ってる選手も、さすがにピリッとしない練習をしてしまうところを見ると…、です。
試合の中でも、「状況を判断出来るか?」はゲーム性を高める上において本当に重要だと思います。
前回のエントリにも書きましたが、ゲーム性を高めるには、状況判断が先で配球術ではありません。
画一的なショットを打つ事からの脱出の為に、ドロップショットやループボールを使う事がゲーム性だと勘違いしている選手もかなりの数居ます。
個人的にアーネストで指導しているのは、
①状況判断
②戦術決定
がありきの③ショット選択
の順だと思っています。
なので、空間認識(定位)や識別が狂うと、ショット選択がおかしくなるわけです。
そして状況判断の時に「予測」が必要だと思います。
そして選手達と話していて凄く違和感を感じるのは、「予測」と「予想」は違うのに一緒として考えていると言う所です。
「予測」は「予め測る」と書きます。
何を「測る」のか??
相手のポジションから、どこからどこまでがフォージングショットが来るのか?
自分の今のポジションはその範囲の中央にいるのか?
それは測る事で出てくる判断です。
「相手が下がったから」「相手がバックを片手でスライスの構えしたから」などの理由で「あんまり強いボールが来ない」と言うのは「予想」です。
予想はレベルが変わると簡単に覆されます。
県レベルだとこのショットである程度相手にダメージが与えられるとしても、それが地域レベルで通用するのか?同じく全国レベルで通用するのか?
砂入り人工芝では通用しても、全国のハードコートでは通用するのか?
勿論そこを予想して練習するのは重要ですし、それを身を持って体感している全国経験がある選手は、そこが財産となると思います。
そこを考えられる選手が全国の常連となって、トップを狙いに行けるとも思っています。
「予測」は違いますよね。
コートの大きさは、世界中どこに行っても同じだし、自分のリーチを考えてポジションを取りに行くのは、県内のコートでもウィンブルドンでも同じだと思います。
そう考えると空間認識って本当にテニスと言うスポーツにとって重要だなと思います。
相手が打ったボールに対して、落下点を「予測」するのも、状況判断には重要です。
これについては、少しレッスンの中で実験したんですが、それはまた次の機会に。
そうした「予測」について指導の場で選手に伝える事が出来ているかどうか?
そこは地道に球出しの練習の時のスタートの位置や、ラリー練習のポジションなどで伝えていく。
それ以外にも、ミーティングやアップでストレッチなどで集合した時にも、ゴチャゴチャと固まってしまったりするのも、空間認識のウチだと考えます。
野球やサッカーって整列させますよね?
そのスポーツは、そうした空間認識がないと守備が出来ないからだと思います。
テニスは基本的に整列する習慣がない。
なので、他人との関わりのスポーツなのに空間認識が低くなってしまう。
特徴的なのは、ダブルスに出てきます。
大人のレッスンでも「今自分が何処に立っているのか?」「相手のポジションに対して、自分は何処にいるべきか?」の理由を言える方は少ないと思います。
コーチに「前衛はココ後衛はココ」と言われたから、と言うのがほとんどやないでしょうか?
ましてやダブルスは相手のパートナーと自分のパートナーと、判断する事が増えている状況です。
ポジションを教えて欲しいと言う声に対しては、必ずこの話をします。
目に見えて何かを変えると言う部分ではないですが、はっきりとゲームが上手くなるかどうか?を分ける部分だと個人的には思います。
そしてジュニア達にはそこまで説明しないとしても、ある程度躾の延長線上としてレッスンで指導して行くのが一番だと思います。
自分の事だけをやるのではなく、他人との関わりを考えて行動するのは、言葉で言えば簡単ですが本当に難しい。
今新型コロナウィルスで「◯m以内に近づかない」と言われますが、それが理解して実践できるとテニスの上達につながると思います。