Earnest Tennis Academyのブログ

大分県のジュニア選手対象のテニスアカデミー!

伊達公子選手の論文について思う事。

少しFacebookにも書きましたが、最近様々な方がシェアされていたこの記事について、個人的な考察を書きたいと思います。

伊達公子が没頭した修士論文の中身。砂入り人工芝は日本テニスの大問題。(Number Web) - Yahoo!ニュース

 

タイトルを見ると、「世界に通用する選手育成にはハードコートが不可欠」と言う内容です。

実際論文を読んでも、そのデータが詳しく考察されています。

 

ボールの跳ね方やフットワークの違いなどが挙げられ、そのどれもが凄く参考になります。

勿論データだけではなく、元世界4位の選手の目からの意見も、大変貴重です。

 

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個人的には環境だけで言えば、海外との違いはコートサーフェスだけではなく、ボールにもあると思います。

 

日本では以前からダンロップ社のフォートが「良いボール」の典型として扱われてきました。

しっとりとした当たりで打球感が良く、ちゃんと食いつく。跳ね方はそんなに強くない。

しかし海外で良く使用されるボールは、もっと跳ねるイメージがあります。

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日本でもそこら辺の感覚に近くするために、ダンロップ社のスリクソンやヘッド社のヘッド・プロなどが開発されて来ました。

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実際「砂入り人工芝でフォート」と「ハードでスリクソン」だと、飛び方や跳ね方にかなり違いがあり、伊達選手の論文にある様な打点の高低差もハッキリ出てくるのではないでしょうか?

高い打点が多いと、身体の使い方が上手いとか、背が高いとか、パワーがあるとかのアドバンテージは効いてくると思います。

 

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そしてその論文でも見逃してはいけないのは、その後に続く技術面での問題です。

特に小浦先生の名前とともに空間認知の話が出てきます。

その前の打点の高低差の部分でもそうですが、コートサーフェスやボールなどの環境面つまりハード面だけではなく、その技術の為の指導法ソフト面にも触れている部分です。

 

近年のハード面でのテニス界の流れとしてはプレイ&ステイがあります。

しかしプレイ&ステイ自体はハードであり、ソフトではありません。技術的に平易になった状態で、どんな指導をするのか?の方が重要だと思います。

 

ハードコートであっても、砂入り人工芝であっても、コーチ側が指導する技術を勉強しながら取り組んでいけば、(もちろんハードコートである方が良いですが)クリア出来る問題はあるのではないでしょうか??

 

砂入り人工芝では足裏の踏みつける力が低くなりがちだと言うデータも注目です。

福岡国際女子を見に行った時も、海外の選手がフットワークにかなり苦労していて、よく転んでいました。

ハードに比べて滑るのはそうですが、クレーなどと比べても滑ってから止まって踏ん張る事が難しいので、他のサーフェスへの対応と比べて難しいのでしょうか?

 

個人的に以前働いていたアカデミーはハードと砂入り人工芝があり、レベルが上がるとハードコートへと言う流れでした。

しかし砂入り人工芝でしかテニスをした事がない選手でも、滑らないフットワークや地面を踏みつけるチカラを使う事などの指導をしていると、意外とスムーズに移行出来ます。

 

他のクラブから移動してきた選手が全く対応出来ないのを見ると、その重要性は凄く感じます。

 

以上より、伊達選手の論文を読んで、個人的には「ちゃんと対応できる指導ができる様に、コーチもちゃんと勉強しなさい」と言われてる気がしました。

 

その上での環境の良さだと思います。

九州は地域大会でもハードの試合はなく、全日本ジュニアで見た九州の選手達は砂入り人工芝のテニスをしていました。

ハード慣れをしている選手に配球面でもやられているのを見ていると、なんだかんだ言ってもやはり環境は大事だなぁとは思います。

 

しかし、指導する側としてはそのステージに行ける、ではなくそのステージで勝てる選手を育てる為には引き続き様々な情報にアンテナを張り、日々自分のクラブで試行錯誤を繰り返し、勉強を続けて行かねばならないと痛感します。

 

「学ぶ事をやめたら、教える事をやめねばならない」

 

毎日の練習に指導者側が手を抜かず、選手のテニスに関わりたいと思います。

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