Earnest Tennis Academyのブログ

大分県のジュニア選手対象のテニスアカデミー!

コートの認識について

先日あるコーチとのやり取りで話題になった事を備忘録として残したいと思います。

 

今アーネストでも選手に伝えているのが、テニスという競技は「どうなったら点が取れるのか?」です。

 

バレーボールはボールが地面についたら。

サッカーはゴールにボールが入ったら。

野球はホームをランナーが踏んだら。

 

手段はそれぞれあると思います。

スパイクなのか、ツーアタックなのか、フェイントなのか。

ペナルティキックなのか、ヘディングなのか、コーナーからのセットプレーなのか。

ヒットなのか、ホームランなのか、盗塁なのか。

 

テニスは何をおいても「ボールをコートに入れる事」が基本戦術であると思います。

相手より1球多くコートに入れれば得点です。

極論ですが、相手が100球入れてきたら、こちらは101球入れれば勝ちなのです。99球では何度やってもどんな手段を使っても勝てません。

 

テニスはミスが多いスポーツですが、以上よりミスが多い(早い)選手と言うのは、勝つ確率が凄く低くなります。

そしてミスにもある程度順番があります。

 

やってはいけないミスの順番は

  1. ネットミス
  2. サイドアウトミス
  3. バックアウトミス

と言われています。

 

テニスの場合は、相手コートに入れる前に必ず「ネットを越える」必要があります。

つまりネットを越えないと言うことは、全くポイントを取る確率が無い事になります。実際アウトしそうになったボールを取った経験のある選手はいるでしょうが、ネットしそうなボールを取った経験のある選手はほぼいないと思います。

また、体格が大きくなって打点が上がったり、技術の進歩して回転量が増えたりすれば、2や3は将来的に入る確率が上がりますが、ネットは5年経っても10年経ってもネットです。

 

海外のコーチがよく「ネットミスは犯罪だ」と言うのも本当に重要なアドバイスだと思います。

 

では、なぜ2番目がサイドアウトなのでしょうか??

 

たまにネットでこう言うエリアに打つべし!と言う情報を見かけます。

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これ自体が間違っているとは言いませんが、しかしこのエリアに打つには、サイドアウトの危険性がかなり高くなります。

 

なぜ2番目がサイドアウトなのでしょうか?

 

その理由の1つとしては、僕が学んだ経験から言うと選手がコートの形を正確に理解しているかどうか?だと思います。つまり空間認知が出来ているか?

選手に「シングルスコートの絵を描いて」と言うと、たまにこう言うのを書く選手がいます。

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実際のテニスコート

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です。

ベースラインに比べて、サイドラインは約3倍あり、細長いコートなのです。

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同じベースラインの長さならば、これくらい違います。

急いで書いたので、サービスラインの位置がおかしいです。すいません。

 

そして、最初のコートのイメージの選手に、「ミドルクロスとロングクロスを打ち分けなさい。」と言うと、こうなります。

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距離的にほぼ変わらずですね。

実際はこれくらいの距離の違いが出ます。

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角度も含めて全く違いますよね。

ちなみに上のコートを書く選手に、ストレートとクロスの角度の差は?と聞くと、想像通り45°とか30°とか言う返事が来ます(笑)。多分その角度で打てばネットポストに行ってしまいますよ(笑)。

 

加えてボールコントロールの要素としては

  1. 方向性
  2. 距離
  3. 高さ
  4. スピード
  5. 回転

がありますが、3・4・5は2の距離と凄く関連があります。つまり距離のコントロールは難しいのです。

人間の眼も「奥行き」を感じるのは集中力が必要です。

その為、ドリルの時にコーンを置いて当てさせるよりも、エリアを決めて入れさせる方が難しいし実践的だと思います。

 

そうした時にメンタル的にプレッシャーがかかった場面でサイドラインを狙って打つのは確率として非常に低くなるのでは無いでしょうか??

しんどい場面で早くポイントが欲しい!と思う時にはやりがちだと思います。

 

だからこそ練習では、戦略の基礎であるロングクロスをたくさん打っておかなければいけないと思います。「身体にクロスの長さを入れる」と言います。

 

以上より、安易に先程の様なサービスライン近辺を狙ってのショットを選ぶのは、実際の試合では本当に危険だと言えます。

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勿論サイドラインを狙うのが全て悪だと言っているのではなく、ポジションがどこで、自分がどんなバランスなら打てるのか?をしっかり決めて打つなら全く問題ないと思います。

 

なのでサイドラインを狙うにはその前に、前回の記事の伊達公子選手の論文の話でも出てきましたが、「空間認識」「識別」が正確なのか?が重要だと思います。

伊達公子選手の論文について思う事。 - Earnest Tennis Academyのブログ

 

 

だからこそ、僕たちが指導しているアーネストの選手にはコートの大きさやポジションは口うるさく伝えています。

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成長して回転量やスピードを上げることが出来た時に、凄く差になってくる、と思っています。

コーディネーションの7要素

  1. 空間認知(定位)
  2. 識別(分化)
  3. 反応
  4. 変換
  5. 連結
  6. リズム
  7. バランス

はどれも重要ですが、1と2は本当に気をつけて指導しなければいけないと思います。

コーディネーションに関しては、個人的にまだまだ勉強不足です。しかしこの2つを考えると、今まで行ってきたドリルの捉え方が変わります。

これまで小浦塾で学んできた事も、違った印象を持ってきます。

 

1つの要素では勝ちに繋がりませんし、かと言って全てが揃うのはかなり困難だと思います。

 

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

 

選手達が全力を出せる為の準備を、正確に伝えられるかどうか?がコーチの指導だと自戒して、今日の練習に取り組みます!

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