「内の眼・外の眼」について
引き続き小浦先生の著書から、僕が今コーチとして最も気をつけている所を…。
「ミル」と言う漢字はいくつもありますが、そのミル事をする眼は2つあります。
1つは実際目の前で起こっている現象を見る眼です。
相手やボールや環境などの情報は80%眼から入って来ます。それは、所謂眼の動きや使い方に左右される事が多いです。
今の子供達は保護者の方々が手がかからない!からかゲームをずーっとやっています。眼が固定された距離から動かない状態で、長い子で3〜4時間ぶっ通しでやります。
少し大きくなったら今度はスマホです。それこそ何時間でも画面を見続ける事が、外の情報を(特に奥行きを感じる眼)を育てる筈がありません、
実際に目の前にある時計は見えますが、凸凹にデザインされた字は見えない、と言う子供もいました。
この子は手投げのボールは打てますが、少し離れたところから出すと全く当たりません。
遠近を見るのは集中力が必要だと思います。
逆に言うと集中力には眼の使い方が凄く重要だと思います。
ここを話し出すと今度は集中力の話になるので…。
こう言うつながりを考えると果てしなくなるので、小浦先生がこうして本にまとめる凄さが分かります。
全部つながってるやんけ!膨大な数やんけ!と関西弁で叫びたいです(笑)
2つ目は「内の眼」です。
例えばフットワークが課題の球出しドリルをしている時、目はボールを見ていますが心の中の眼は自分の足の動きを見ている筈です。
試合中も目はボールや相手を見ていますが、心の中の眼は戦略・戦術に基づく配球を考えている筈です。
内の眼が動かないと、ただ打っている練習になりかねません。
そうした練習で出来た神経回路のまま試合に挑むと、ショット・コンテストの様なただ打っている試合をしてしまいがちです。
どれだけショットの能力があっても、これではあるレベル以上は勝ち続ける事は難しくなります。
よく言う頭を使って賢く練習する為には、前提として内の眼が動いている事が重要なのではないでしょうか?
この事を習うと、コーチングのギャップを思い知らされます。
いつも教えている選手が小浦塾に行って、小浦先生に質問されます。
「まあ、いつも言っている事だから分かっているだろう」と思っていると、思いがけない答えを言ったりします。
内の眼が動かず、こちらの言った事をただ外の眼だけで練習をしているから、何故それが必要なのか?自分はどうやってそれに取り組むか?を考えずに練習していたのです。
実際本人に「ボール打ちながら、心の目で何を見てる?何を考えてる?」と聞いてみると、「2球目位までは考えてるけど、それ以降は何も…」と言う答えが返ってきたりします。
これについては僕もまだまだ勉強中であり、これ間違ってるかな?と思いつつも色んな方法を試しています。
でも何事もやらないと分からないし、その試してる方法が必ず何かに繋がって、その選手にプラスになると思っています。
例えば球出し練習の時に、横から一桁の足し算引き算の問題を言います。
答えを考えながら打つと、めちゃくちゃ簡単なドリルでもボロボロになります(笑)。
普段ショット・コンテストみたいなテニスをしている子はあからさまにスピードだが落ちてクオリティが下がります。
逆に普段から考えてるだろうな、と思っている子はそんなにクオリティが下がりません。
これはいくらでもレベルを上げられます。
計算自体を難しくしてもいいのですが、例えば答えが偶数ならストレート、奇数ならクロスに打つなどのコースも考えさせると、更にボロボロになったりします(笑)。
でも、流石ゴールデンエイジ。
ほんの5分も経つと、ちゃんと慣れてこなしてきます。
以前どこかで「頭の中で話すスピードが速い人は、身体が動くスピードが速い」と言う話を聞いた事があります。
素早く情報を判断して、決断力を持って反応出来る人は、動き出しが早くなり、スピードが上がると言う事でしょうか?
内の眼がしっかり動いて物事に取り組める人は、同じ事をやっても獲得する経験値も高くなると思います。
もちろん内の眼で見えるのは、事象だけではなく心理的な動きや試合の流れなど、外の眼では見えないモノもたくさん。
それだけに感性が鈍いと、内の眼が動かないんだろうな、と思います。
そうすると、感性を磨く事や五感で感じる事に話がつながります…。
僕は自分自身が感性が昔から鈍くて、内の眼の動きが悪い方だと思います。自身の失敗にも思い当たる事がたくさんあります(笑)。
先ずは自分の外の眼と内の眼のバランスを意識して使える事。
そして選手達の両方の眼の動きを想像して、プレイを見る事。
それが現在の僕のコーチとしても課題でもあります。
超難しくて、面白いです。